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日本タンクターミナル協会
危険物施設の事故防止対策で勉強会
施設老朽化で事故件数は増加傾向に

日本タンクターミナル協会(宮川靖嘉会長)は12日、2023年度勉強会を対面とオンラインのハイブリッド形式で開催した。当日は「最近の危険物行政の動向と危険物事故防止対策について」をテーマに、総務省消防庁危険物保安室課長補佐の合庭貴信氏が講演した。

合庭氏は、危険物施設の数が減少傾向にあるにも関わらず、施設での事故件数が増加していることに言及。その要因として危険物施設が扱っているものは第4類(石油など)が圧倒的に多く、カーボンニュートラルを背景に石化系を扱う危険物施設は新たに建てにくいことや、既存施設の老朽化が進んでいることを挙げた。

また、2022年の危険物施設における事故の要因について火災は人的要因が多く、流出事故は設備の腐食や劣化に起因するものが多いと解説。地震でタンクが破損したことによる重油の漏洩や、ウレタンの運搬中に発生したタンク火災など、実際の事故事例も報告した。

講演では、消防庁で21年から22年にかけて行われた「危険物輸送の動向を踏まえた安全対策の検討会」についても報告。現在、港でタンクコンテナなどに仮貯蔵されている危険物については、10日を貯蔵期限としており、自然災害などで船の到着が遅れた場合に期限を延長できるようにしている。今回の検討会の結果、感染症の影響や人手不足により港湾の稼働が悪化するなど、危険物事業者の責によらない場合においては、貯蔵期限を延長できるよう、昨年12月に各都道府県の消防主管部長に通達したと報告した。

また、消防庁では現在、危険物関係の電子申請を可能にするためのシステム構築を進めており、合庭氏は「今年中には一気に進めていきたい」と述べた。

 

(2023/4/20 カーゴニュース 掲載)

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